メニュー

コロナ検査とワクチン

[2021.05.30]

5月中旬からほぼ1日おきに大阪市外の市町村で新型コロナワクチン接種に従事しておりました。現場で働いた感想としては3時間で30-40人しか接種出来ていないシステムを経験し、非常に効率が悪いと感じました。当院でのワクチンについては最後に書くとして、今日は新型コロナウイルス検査(核酸検出検査や抗原検査、抗体検査)の違いと特徴についてお話します。

 

核酸検出検査

検体中にウイルス遺伝子(核酸)が存在しているか否かを確認する方法としてリアルタイムRT-PCR、LAMP法、TMA法などがあります。

・リアルタイムRT-PCR

PCRは日本語に訳すと『ポリメラーゼ連鎖反応』と言います。ポリメラーゼとはDNAやRNAなどの核酸を合成する酵素のことで、PCRとはポリメラーゼを連鎖させて目的のDNAを増やす方法です。生命の最小単位である細胞が細胞分裂をする際にDNAの複製が行われますがこの時にDNAの二重らせん構造は解かれ1本鎖DNAが鋳型となりポリメラーゼによって新たなDNAが完成します。人工的にDNAを増やすためにDNAが高温では分離して冷却すると結合する性質を利用します。2本鎖DNAは高温環境下では1本ずつに分離しますが、その際にプライマーと言われる人工合成したDNAを加えておくことで冷却した際に分離されたDNAと相補的に結合します。この原理で考えれば1本の2本鎖DNAは1サイクルのPCRで2本、2サイクルで4本、3サイクルで8本と増加します。このように検体にプライマーを加え高温と冷却を繰り返すことで目的のDNAを増幅させて検出する方法をPCRと言います。PCRは30-40サイクルで終了することが多いのですが最終的に増加したDNAの量を正確に測定することが困難であるために、サイクル毎にDNA量を測定する手法が用いられます。これをリアルタイムPCRといいます。

ちなみにコロナウイルスはDNAウイルスではなくRNAウイルスであるためRNAからDNAを合成する必要があります。その際に使用するのが逆転写酵素(reverse transcriptase)というもので、これを用いることでDNAを合成しPCRを行います。RT-PCRのRTはreverse transcriptaseの頭文字です。またRNAはDNAと違い不安定であるためマイナス80度の超冷凍で保存することが必要です。このことがメッセンジャーRNAワクチンが超冷凍保存されている理由です。

まとめると、リアルタイムRT-PCRとは『逆転写酵素でRNAからDNAを合成した後にリアルタイムPCRを行う検査』ということです。新型コロナウイルス検査のなかでは最も信頼性が高い検査です。したがって多くの国が海外渡航の際に義務付けている検査でもあります。検査結果は当日中、早ければ2時間程度で出ます。

・その他の核酸増幅法

リアルタイムRT-PCR以外の核酸増幅法にはLAMP法やTMA法などがあります。PCRと違って一定温度で実施可能な遺伝子検出法で検査結果が出るまでの時間がPCRより短い利点がありますがPCRと比べて感度が落ちます。

抗原検査

コロナウイルスの蛋白質をウイルスに特異的な抗体を用いて検出する検査法で定性検査と定量検査があります。前者は有症状者のスクリーニングに有用であり。後者は特異度が高いことから無症状者に対する検査(とくに空港検疫)として使用されています。検査結果までの時間が30-40分と短いことが特徴です。

抗体検査

抗体検査はウイルスを検出する検査ではなく、ウイルスに対する抗体の有無を調べる検査です。感染が成立後に抗体が産生されるので感染歴の指標として使用されます。抗体には早期に出現するIgM抗体とやや遅れて出現するIgG抗体があります。一般的に感染成立後1-3週間経てから陽性となるため抗体が産生される頃には体内にはウイルスRNAが無くなっている、もしくは検出感度以下まで低下していることが多いのですが、時にウイルスRNAとIgM抗体がともに陽性になることがあります。このことから中国への渡航条件はリアルタイムRT-PCR検査とIgM抗体のダブル陰性の証明が必要となっています。

 

検査精度

以上からウイルス検査の精度は

リアルタイムRT-PCR>LAMP法やTMA法>抗原定量検査>抗原定性検査

ということになります。

  核酸検出検査 抗原定性検査 抗原定量検査 抗体検査
検体 鼻咽頭 唾液 鼻咽頭 唾液 鼻咽頭 唾液 血液
無症状者 ※① × ※②
  ※① 感染地域のスクリーニングとしては使用可  
   ※② IgM抗体陽性時には症状によりPCR検査推奨  

 

当院では最も信頼性が高いリアルタイムRT-PCR機器を6月中旬に納入します。

無症状者でPCR検査希望の方は7月開院前からでも検査可能ですので出張前や帰省などで必要な場合にはお役立てください。但し自費診療となる点にご注意ください。6月中に詳細を告知いたします。

新型コロナワクチンについては現場でのあまりの遅さに失望し、当院も開院前から接種協力をする旨を大阪市と大阪府のワクチン接種推進課にお伝えしたところ承諾を頂きました。したがって当院でワクチン接種を希望される方は6月1日に専用ダイヤルを作りますのでご連絡ください。本日は以上です。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME