クランベリーと尿路感染

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クランベリーは多種多様のポリフェノールを多く含み、古くから欧米で尿路感染症の民間療法として用いられています。

クランベリー利用の歴史は古く、すでに 17 世紀には北米大陸の原住民のあいだで食料のほかさまざまな病気に対する民間薬として利用されていた記録があるといいます。

先に結論を言いますと有効性が示された試験と示されなかった試験が混在しており尿路感染の再発予防効果は限定的なものと捉えられています。

クランベリージュースの感染予防効果

キナ酸はクランベリーに特異的な高含有成分であり、それ自身が強い抗酸化・抗炎症作用を示すばかりでなく、その生体内代謝産物である馬尿酸は抗菌作用を発揮して尿路感染症の予防または治療効果に一定の役割を果たしていると推察されています。

但し有効な摂取量については明確な基準がありませんが、参考になる試験を以下に記載します。

Barbosa-Cesnikらが20台の女性160人ずつに行った試験では濃度27%で240mlのクランベリージュースを日に2回飲用した群がプラセボに比べて6か月間の尿路感染予防効果を認めました。

クランベリー製品は比較的安全に摂取できると考えられていますがシュウ酸を多く含むため、尿中のシュウ酸カルシウムが増加して尿路結石のリスクが高まることがあるので尿路結石の既往症がある人は使用を避ける方が望ましいです。

さらに、クランベリーは薬物を代謝する一部の酵素の作用を阻害する働きもあり、とくにワーファリンの血中濃度を上昇させる恐れがあるので内服中の方は要注意です。

まとめるとクランベリージュースは膀胱炎の治療薬ではありません。あくまで膀胱炎などの尿路感染の再発予防の効果としても限定的である認識したうえで、原因不明の再発性膀胱炎を来す場合にはトライする価値はあると個人的には思います。

本日は以上です。

【参考文献】Cibele Barbosa-Cesnik,et al : Cranberry Juice Fails to Prevent Recurrent Urinary Tract lnfection : Results From a Randomized Placebo-Controlled Trial.Clinical lnfectious Diseases 2011; 52 (1): 23-30