痛風にご用心

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朝の報道番組を見ていたらコロナ禍で外出控えが続いた結果、痛風患者が増加しているとのニュースがありましたので痛風についてお話をしようと思います。

痛風の歴史は古く、紀元前5世紀の古代ギリシア時代まで遡ります。かつては贅沢病といわれた痛風も現在のような飽食の時代ではありふれた疾患となりました。

痛風発作の機序と好発部位

血液の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと血液中に溶解できない尿酸が関節で沈着し結晶(尿酸塩)となります。この結晶が尿酸値の急激な変動やストレス、激しい運動などで崩れると白血球などがそれを排除しようと格闘します。その結果、痛風発作といわれる炎症を引き起こします。

足の親指は痛風発作の代表的な部位ですが、なぜ出来やすいか知っている方は少ないのではないでしょうか。尿酸は温度で溶解度が変わります。低温で溶けにくくなり結晶化するため、体温の低い手足や耳などが痛風の好発部位となるのです。

尿酸値を上げる要因と対処法

尿酸はプリン体の最終代謝産物であることから尿酸値を上げないようにするには食事が非常に大事です。とくにレバーなど動物の内臓や干物はプリン体が多く含まれています。ちなみに一日のプリン体は400㎎を超えないように心がけることが必要です。(動物のレバー80gでプリン体200㎎前後、魚干物1尾でプリン体150g前後)ビールにプリン体が多いのは有名ですが、アルコールそのものが尿酸値を上げる原因になります。飲酒量が多くなれば摂取エネルギーが増えるため肥満につながります。一日の飲酒量の目安としては、ビールなら500mlまでとされています。

肥満の解消や尿酸値の高い人に合併しやすい生活習慣病の予防のためにも運動がすすめられます。ただし、激しい運動はかえって代謝産物である尿酸を増加させる原因になりますので要注意です。早歩きやジョギング、水泳などの有酸素運動を週に3回程度継続して行うのがおすすめです。

痛風はストレスとも因果関係があります。食事は早食い、普段からせっかち、このようなタイプはストレスにさらされやすくストレスは尿酸値を上昇させます。ストレス発散法が飲酒や過食にならないような自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

体内に溜まった尿酸は主に尿中に排泄されます。したがって尿酸を体外へ出すために尿の量を増やすことは重要です。一日2Lを目安に水分(お水やお茶)を摂取しましょう。

次回は高尿酸血症が引き起こす泌尿器科疾患や痛風発作の対処法などをおつたえします。