ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法

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治療を続けても改善されない過活動膀胱

“ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(以下「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」)”という治療があります

過活動膀胱に対しては、抗コリン薬やβ3作動薬などを用いた薬物療法、また膀胱訓練や骨盤底筋体操などの行動療法が行われますが、これらの治療を継続して尿もれ(尿失禁)や頻尿などの症状が改善されない場合があります。

少なくとも3ヶ月間、薬物療法・行動療法を継続しても十分な効果が得られなかったり、薬物療法が口の渇きや便秘、尿が出づらくなるなどの副作用のために継続できなかったりする場合、難治性の過活動膀胱と診断されます。

薬物療法・行動療法では改善されない、あるいは治療の継続が難しい患者様への治療方法として、“ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法”があります。

保険適用・日帰り手術として受けられます

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は、米国や欧米など世界で広く行われている治療方法です。ボツリヌス毒素製剤を膀胱の筋肉へ直接注射することで、異常収縮を抑えて尿意切迫感や切迫性尿失禁、昼間・夜間頻尿などの症状を改善します。

難治性過活動膀胱と診断された方は、保険適用で治療を受けることができ、今福鶴見のかねみつクリニックではボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法を日帰り手術として行っています。

注射にかかる時間は10~20分程度

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の注射は、10~20分程度で終わります。しっかり麻酔を効かせて治療しますので、痛みを感じることはほとんどありません。安心して治療を受けていただくことができます。

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法について

ボツリヌス毒素製剤で膀胱の異常収縮を抑制

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法とは、膀胱内視鏡(膀胱鏡)を使って膀胱壁(膀胱の筋肉)の20箇所へボツリヌス毒素製剤を注射する治療です。ボツリヌス毒素製剤は、ボツリヌス菌によって生成されたタンパク質(A型ボツリヌス毒素)を基に作られていて、膀胱の異常収縮を抑制する効果があります。
ボツリヌス菌を注射するわけではないので、感染は心配ありません。

治療の対象となる方

下記の方がボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の対象となります。

・3ヶ月以上、薬物療法・行動療法を継続しているが十分な効果が得られず、尿もれ・頻尿が改善されない方

・副作用のために薬物療法の継続が難しい方

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の効果

4~8ヶ月程度、効果が続きます

一般的にボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の効果は治療後2~3日程度で現れて、その後、4~8ヶ月程度続くとされています。効果の程度や持続期間には個人差があります。

ただ、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は難治性過活動膀胱を完治させるものではなく、あくまで対症療法となります。そのため、4~8ヶ月経過して効果が弱まったり、症状が再発したりした場合には、再治療を検討します。

治療後4ヶ月たっていれば保険適用で再治療可能

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は、前回の治療から4ヶ月経過していれば、保険適用で再治療可能です。

そのため、尿もれ・頻尿などの症状が強く現れやすい冬場には、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法で症状をしっかりと抑えて、比較的排尿量が少なくなる夏場には薬物療法で対応するという治療方針も立てられます。

患者様お一人おひとりの症状の現れ方やライフスタイル、ご希望などに応じて、できるだけ負担の少ない治療方針をご提案させていただきます。

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の副作用

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法では、治療後、下記のような副作用が起こることがあります。

血尿(肉眼的血尿)

膀胱の筋肉へ薬剤を注射することで、一時的に血尿(肉眼的血尿)が出ることがあります。通常、数日程度で自然に治まります。

尿路感染症

細菌が膀胱内へ侵入して膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの尿路感染症を引き起こすことがあります。炎症により白濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、血尿などの症状が現れます。

尿閉(にょうへい)

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法のお薬が効きすぎてしまい、一時的に尿が出にくくなったり、まったく出なくなったりすることがあります。

こうした尿閉が起こっていないか確認するために、治療後、お薬の効果が出現する時期にご来院いただいて排尿状態を確認しています。

残尿の増加

尿を全部出し切れず、膀胱内に溜まってしまうことがあります。そのため、治療後2週間以内にご来院いただき、残尿量を測定します。その後も、必要に応じて定期的に残尿量の測定を行う場合があります。