膜性腎症について
中高年の男性に多くみられます

膜性腎症は、糸球体の基底膜が肥厚する糸球体疾患です。成人のネフローゼ症候群の原因として最も多く、約30~40%を占めています。
大量の蛋白尿とむくみが特徴的な症状です。40歳以上の中高年に多くみられ、男性にやや多い傾向があります。原発性(原因不明)と二次性(がんや自己免疫疾患に伴うもの)があります。
約30%の方は治療なしで自然に改善しますが、進行すると腎不全に至ることもあります。早期発見と適切な治療が重要ですので、健診で尿蛋白の異常を指摘された際は、そのままにせずに大阪市城東区今福鶴見のかねみつクリニックへご相談ください。
膜性腎症の種類
原発性と二次性
原発性(特発性)は原因不明で、約80%を占めます。二次性は、がん(特に固形がん)、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの自己免疫疾患、B型肝炎などの感染症、薬剤などが原因となります。
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- 健診で大量の尿蛋白を指摘された
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など
特徴的な症状
大量の蛋白尿により血液中のアルブミンが減少し、低アルブミン血症となります。これによりむくみが出現し、コレステロールも上昇します。これらをネフローゼ症候群と呼びます。
血尿は少ないか、ほとんどみられません。初期は腎機能が正常ですが、徐々に進行することがあります。
膜性腎症の経過
膜性腎症の経過には3つのパターンがあります。どのパターンをたどるかは個人差があり、定期的な検査で経過を観察することが大切です。
自然寛解型(約30%)
特別な治療をしなくても、蛋白尿が自然に減少・消失するパターンです。特に蛋白尿が比較的少ない場合や、若い方に多い傾向があります。
持続型(約30~40%)
蛋白尿は持続しますが、腎機能は長期間にわたり正常に保たれるパターンです。定期的な経過観察を続けながら、必要に応じて治療を検討します。
進行型(約20~30%)
腎機能が徐々に低下していくパターンです。治療を行わない場合、10~20年で透析が必要になることもあります。大量の蛋白尿が続く方、高齢の方、男性に多い傾向があります。積極的な治療が必要です。
膜性腎症の原因
原発性膜性腎症の原因
約70%の患者様で抗PLA2R抗体という自己抗体が陽性となります。この抗体が糸球体の足細胞を攻撃し、免疫複合体が基底膜に沈着します。なぜこの抗体ができるのかは明らかになっていません。
二次性膜性腎症の原因
悪性腫瘍では肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんなどが原因となります。自己免疫疾患では全身性エリテマトーデスや関節リウマチが、感染症ではB型肝炎やC型肝炎が原因となることがあります。NSAIDs、金製剤、ペニシラミンなどの薬剤が原因となることもあります。
リスク因子
中高年の方、男性、喫煙者、肥満の方がリスクが高い傾向があります。
膜性腎症の検査・診断
病理所見
糸球体の基底膜が全周性に肥厚するのが特徴です。免疫複合体が基底膜に沈着し、電子顕微鏡で特徴的な所見が確認されます。
尿検査
1日3.5g以上の大量の蛋白尿が特徴です。血尿は軽度またはほとんどみられません。
血液検査
低アルブミン血症(3.0g/dL以下)と高コレステロール血症がみられます。クレアチニンとeGFRで腎機能を評価します。抗PLA2R抗体は原発性の診断に有用です。
腎生検
確定診断には腎生検が必須です。組織型を確認し、原発性と二次性を鑑別します。治療方針を決定するためにも重要な検査です。検査は、専門医療機関をご紹介して実施します。
二次性の原因検索
二次性が疑われる場合は、原因となる病気を探します。がん検診として胸部レントゲン検査、CT検査、内視鏡検査などが行われます。自己抗体検査やB型・C型肝炎ウイルスの検査も実施します。CTなどによる精密検査が必要な方には、連携する専門機関をご紹介いたします。
膜性腎症の治療方法
経過観察
軽症例で蛋白尿が少なく腎機能が正常な場合は、まず経過観察を行います。自然寛解の可能性もあるため、対症療法のみで様子を見ます。
対症療法
ACE阻害薬やARBで蛋白尿を減少させ、血圧を管理します。利尿薬でむくみを改善します。スタチンで高コレステロール血症を治療します。血栓症のリスクが高い場合は抗凝固薬を使用します。塩分制限と蛋白質制限も行います。
免疫抑制療法
中等症から重症の場合に実施します。ステロイドに加えて、シクロホスファミド、シクロスポリン、タクロリムスなどの免疫抑制薬を使用します。最近ではリツキシマブ(抗CD20抗体)という新しい治療方法も注目されています。
二次性膜性腎症の治療
原因となる病気の治療が最優先です。がんの治療や原因となる薬剤の中止などを行います。
定期的なフォローアップ
尿蛋白と腎機能の推移を定期的にモニタリングします。治療効果を判定し、必要に応じて治療内容を調整します。
