多発性嚢胞腎について
徐々に腎機能が低下します
多発性嚢胞腎は、遺伝性の腎臓病で、両側の腎臓に多数の嚢胞(液体の入った袋)ができる病気です。
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と、常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)があります。ADPKDは成人に多くみられ、日本では約3万人の患者様がいるとされています。進行性の病気で、徐々に腎機能が低下していきます。透析導入の原因疾患として約3%を占めています。
腎臓以外にも、肝臓や膵臓などに嚢胞ができることがあります。早期に発見し、適切に管理することで進行を遅らせることが可能ですので、気になる症状があったり、健診で異常を指摘されたりした方は、大阪市城東区今福鶴見のかねみつクリニックへご相談ください。
多発性嚢胞腎の種類
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
最も多いタイプで、成人型とも呼ばれます。親から子へ50%の確率で遺伝します。30~40歳ごろから症状が出始めることが多く、嚢胞が徐々に増えて大きくなり、腎臓全体が腫大します。腎機能は長年かけてゆっくりと低下し、60歳ごろまでに約半数の方が透析を必要とします。
常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)
稀なタイプで、小児型とも呼ばれます。乳児期に発症し、進行が早いのが特徴です。
こんなお悩みはありませんか?
- 家族に多発性嚢胞腎の人がいる
- 健診で腎臓の腫れや嚢胞を指摘された
- 腰や背中に痛みがある
- 血尿が出た
- 高血圧を指摘された
など
症状の特徴
初期は無症状のことが多いです。嚢胞が大きくなると腰痛や背部痛が出ます。嚢胞内出血や尿路感染により血尿が出ることもあります。腎臓の腫大により腹部膨満感を覚えることもあります。若年から高血圧が出現しやすいことも特徴です。
腎外症状
腎臓以外にも症状が現れます。最も多いのは肝嚢胞です。脳動脈瘤ができることがあり、破裂のリスクがあります。心臓弁膜症や大腸憩室を伴うこともあります。
多発性嚢胞腎の原因
遺伝的要素
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)はPKD1遺伝子またはPKD2遺伝子の変異が原因です。親から子へ遺伝する常染色体優性遺伝で、親が患者の場合、子供に遺伝する確率は50%です。稀に家族歴がなくても、新たに遺伝子変異が起こることがあります。
嚢胞ができるメカニズム
遺伝子の変異により、腎臓の尿細管に嚢胞が形成されます。嚢胞は徐々に増え、大きくなっていきます。正常な腎組織が圧迫されることで、腎機能が低下します。
多発性嚢胞腎の診断基準
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の診断基準
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の診断は、家族歴と画像検査による嚢胞の確認に基づいて行われます。家族歴がある場合、超音波検査(エコー検査)で年齢に応じた数の嚢胞が確認されれば診断されます。
エコー検査による診断基準(家族歴がある場合)
| 年齢 | 必要な嚢胞の数 |
|---|---|
| 15~39歳 | 片側または両側の腎臓に合計3個以上 |
| 40~59歳 | 両側の腎臓にそれぞれ2個以上(計4個以上) |
| 60歳以上 | 両側の腎臓にそれぞれ4個以上(計8個以上) |
家族歴がない場合
家族歴がなくても、両側の腎臓に多数の嚢胞がみられる場合は多発性嚢胞腎が疑われます。他の嚢胞性腎疾患との鑑別が必要なため、詳しい検査を行います。
遺伝子検査
診断が難しい場合や、確定診断が必要な場合は遺伝子検査を行うこともあります。
常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)の診断基準
ARPKDは主に新生児・乳児期に発症する稀な疾患です。常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)のような嚢胞数による診断基準はなく、エコー検査での腎臓の腫大や高エコー所見、肝線維症の合併、遺伝子検査などを総合的に判断して診断されます。
多発性嚢胞腎の検査
画像検査
エコー検査で嚢胞の数と大きさを確認します。スクリーニングとして有効で、繰り返し検査を行って経過を観察します。CT検査やMRI検査では詳細な評価や腎容積の測定を行います。
CTやMRIなどによる精密検査が必要な方には、連携する専門機関をご紹介いたします。
血液検査
クレアチニンとeGFRで腎機能を評価します。診断が不確実な場合は遺伝子検査を行うこともあります。
その他の検査
血圧を定期的に測定し、高血圧の管理を行います。脳動脈瘤のスクリーニングとして頭部MRI/MRAを行うこともあります。
多発性嚢胞腎の治療方法
根本的な治療
嚢胞の増大と腎機能低下を抑制するトルバプタンという薬剤を服用します。進行リスクが高い患者様に使用しますが、定期的な肝機能チェックが必要です。
対症療法
血圧管理が非常に重要で、ACE阻害薬やARBを使用します。若年からの厳格な血圧管理が腎機能を守ります。痛みには鎮痛薬を使用します。尿路感染症が起きた場合は抗菌薬で治療します。嚢胞内出血による血尿が出た場合は、安静と十分な水分摂取で対応します。
生活習慣の改善
塩分を制限し、適正体重を維持します。禁煙も重要です。十分な水分を摂取し、脱水を避けます。嚢胞破裂のリスクがあるため、激しい接触スポーツは避けることをお勧めします。
合併症の管理
脳動脈瘤のスクリーニングと管理を行います。肝嚢胞は定期的に経過観察します。
透析・腎移植
末期腎不全に至った場合は、透析または腎移植が必要になります。適切なタイミングで専門医療機関へご紹介します。
家族のスクリーニング
ご家族に多発性嚢胞腎の方がいる場合は、早期発見のための検査をお勧めします。
