肉眼的血尿の怖さ
先日、ある芸能人が無症候性血尿で泌尿器科に受診されて膀胱腫瘍が見つかったことがニュースになっていました。そのかたは手術治療で無事に完治されたようで良かったのですが、この無症候性血尿はわれわれ泌尿器科医にとっては尿路の悪性腫瘍を疑う一番の症状なのです。血尿には痛みなどを伴う症候性と症状を伴わない無症候性の2種類があります。症候性の場合には膀胱炎などの尿路感染や尿路結石などを疑うのに対し無症候性の場合はまず悪性腫瘍を疑います。
また血尿で受診された際に重要な問診項目として喫煙歴があります。今回のニュースのように40歳以上の男性で喫煙歴があればかなりの確率で膀胱腫瘍などが見つかります。
普通は尿に血が混ざっていたらびっくりしますね。痛みがあったり血尿が持続していれば医療機関に受診するはずです。しかしいつの間にか消失した場合には自然に治ったと思って受診を控えてしまい、やがて進行がんで見つかるというケースが案外多いのです。
血尿で受診された場合には尿や採血、エコーやCT検査などで腎臓から尿道までのほぼ全尿路の臓器の精査を行うことになります。とくに尿道から膀胱までを直接確認できる内視鏡カメラ(膀胱鏡)は非常に重要です。膀胱は伸び縮みする臓器であるためエコーやCT検査などでは膀胱内の病変を細かく診断することは難しいのです。当院ではオリンパス製の最新の軟性膀胱鏡(CYF-VHA)を導入します。より高画質で微細な病変も見落とさないNBI観察機能が搭載されているだけでなく、カメラ挿入時に痛みを減弱させるように内視鏡先端部が軟らかく加工されています。
血尿が泌尿器科疾患において重要なサインであることをご理解頂ければ幸いです。