メニュー

よくある症状 -膀胱炎②-

[2021.05.01]

前回からの続きになります。

①細菌の定着
膀胱炎の原因菌の代表は大腸菌です。大腸菌は線毛を有しているため膀胱粘膜上皮細胞へ付着します。そして尿量が少なかったり、尿中に糖が多いなどの感染しやすい条件が揃うことで定着し上皮細胞内に侵入していきます。
②粘膜上皮細胞の排菌メカニズム
細菌が上皮細胞内に侵入すると炎症性サイトカインが放出され貪食細胞を誘導します。(サイトカインとは細胞から分泌される生理活性物質のことです。)
また上皮細胞内の細菌を細胞外へ排出したり、感染した上皮細胞ごと脱落させるといった排除システムが働きます。
③免疫担当細胞の賦活化
粘膜上皮細胞が細菌に侵されると膀胱粘膜下に存在する肥満細胞やナチュラルキラー細胞、マクロファージなどの免疫担当細胞にもシグナルが伝わり、それらがさまざまなサイトカインを産生します。そのなかでも血中から好中球(白血球の1種)を遊走させることが免疫系において重要です。好中球は感染が成立するとこれら細菌を貪食する為にすぐに動員されます。高い殺菌能力を有し、感染防御の最前線で働いている細胞です。一方で活性酸素や細胞毒性物質の過剰放出によって膀胱粘膜組織を傷つけることもあります。
④抗微生物ペプチド(AMPs)
AMPsとは生物自身が産生する天然の抗微生物物質です。ヒトにおいては100以上のAMPsが認められており尿路においてはリボヌクレアーゼ7などが代表的な物質です。

以上から、①にたいして②から④の自然免疫機構が働きますが、それで抑制出来ない場合に感染が成立するのです。
先述したように尿路感染は女性にとって罹患しやすく、また再発しやすい疾患でもあるために予防が大事になってきます。
外陰部を清潔に保つことを前提として、まずは尿量を減少させないことです。細菌が膀胱内に侵入しても尿で浄化されれば問題はありません。一日飲水量は1500-2000ml/日、概ね適正体重×25mlを目安にしてください。ただし汗をかいたときなどは随時補給が必要です。また尿を我慢すると膀胱炎になると信じてすぐにおトイレに行く習慣も控えましょう。これは心因性頻尿へと繋がるだけでなく長期間続けると膀胱容量の低下を来すこともあります。多少の我慢はとくに心配ありません
冷えは骨盤内血流を低下させ膀胱炎の原因にもなるのでなるべく寒冷刺激を避けてください。特に冷え性の方にはつま先立ちやスクワット、太ももあげ体操などの足を鍛える運動をお勧めします。
またクランベリージュースや乳酸菌を中心としたプロバイオティクスなども尿路感染予防に効果があると言われています。
これから夏場に入ると尿量が減少してきます。日頃から適度な運動と飲水習慣をつけましょう。

【参考文献】金子一成:尿路感染症up to date 尿路における自然免疫;日腎会誌58(1):17-25,2016

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME