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学校検尿

[2021.07.08]

日本での学校検尿システムは40年以上の歴史があります。これにより多くの腎尿路系疾患が早期に発見され治療されてきました。

学校検尿のシステムはまず一次検尿を行い、尿潜血や尿蛋白が陽性であれば異常ありと診断され、二次検尿を行います。ここでも異常がある場合に精密検査へと進みます。

・尿潜血のみ陽性

尿潜血は偽陽性例があるために尿中に赤血球を認めるかを顕微鏡で判断します。尿中に赤血球が見られた場合には変形している場合には糸球体性、変形していない場合には泌尿器科疾患を疑います。エコーや採血などの検査をしても明らかな原因がわからない特発性顕微鏡的血尿の場合には経過観察となります。顕微鏡的血尿のみでは腎障害を来すことはありませんが、後日に蛋白尿が出現しないか確認する必要があります。

・尿蛋白のみ陽性

検診では尿蛋白は(一、+/一、1+~4+)に分類されます。しかしこの検査は採尿時の尿の濃さにより変動するため尿中蛋白量自体を正確に表してはいません。一日の尿蛋白量は蓄尿して検査するのが理想ですが煩雑なため、早朝尿の尿蛋白/クレアチニン比で代用することが多いです。

学校検尿で発見される無症候性蛋白尿の大部分が体位性蛋白尿です。体位性蛋白尿は思春期のやせ形の児に多く、腎臓周辺の筋肉や脂肪などの後腹膜組織が少なく腎臓が遊走するために蛋白尿が出ると考えられており、身長の伸びが止まり、体つきがしっかりしてくると消失します。

・尿蛋白と尿潜血ともに陽性

尿蛋白と血尿がともに陽性例の約6割は腎炎を有すると考えられています。特に、6か月以上続く場合は,さまざまな慢性腎炎や遺伝性腎炎などを認めることが多く、その中でもIgA腎症が最多です。IgA腎症は、小児でも最も多い慢性腎炎で、長期的には10~20%が腎不全になるといわれています。本症の60~70%が学校検尿で発見されており、確定診断には腎生検が必要で腎の病理所見と蛋白尿の程度が予後と相関します。

 

学校検尿の恩恵によりわが国は世界で最も子供の腎不全患者が少ない国となりました。しかし腎臓は悪化するまで症状が出ない沈黙の臓器です。悪化してからの治療効果は乏しいため尿検査異常が見つかった場合には早期の受診をお勧めます。

本日は以上です。

 

 

 

 

 

 

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