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糖尿病がもたらす泌尿器科疾患②

[2021.05.07]

もう一つの代表的な合併症に尿路感染症があります。

糖はわれわれの身体に必要不可欠な物質ですが細菌にとってもエネルギー源となります。なんらかの原因で尿中に細菌が侵入した場合に尿中に糖があればそれを栄養にして増加します。前回お伝えしたように神経因性膀胱によって著名な残尿を生じていればより感染が助長されます。

また高血糖状態が続くと白血球の一種である好中球の殺菌能力が低下するとも言われています。ほかにも細い血管が障害されることで酸素や栄養状態の運搬が滞り細胞免疫力の低下を来すため感染症にかかりやすくなります。

男女問わず糖尿病に罹患することで尿路感染症のリスクは飛躍的に上昇します。また基本的に男性は膀胱炎を来しにくいのですが糖尿病に罹患すると発症しやすくなります。糖を含んだ多量の残尿は細菌にとって格好の環境なのです。

とくに注意すべき尿路感染症に気腫性膀胱炎と気腫性腎盂腎炎があります。

気腫性膀胱炎とは

細菌が尿中の糖を分解し発酵することで二酸化炭素ガスが生じます。傷ついた膀胱粘膜を通じてガスが膀胱内に分布することで発症する膀胱炎です。症状は下腹部の痛みや血尿が多く、また一般的な膀胱炎と違い発熱も認めます。これは一般的な膀胱炎では膀胱粘膜までの浅い炎症なのですが、気腫性膀胱炎では膀胱壁内までの深い炎症を来たすため発熱を生じるわけです。

原因となる菌は通常の膀胱炎の時と同じで大腸菌が最多です。治療は抗菌薬とガスを排出するために膀胱内にカテーテルの留置を行いますが効果不良の場合には外科的摘出例もあります。膀胱壁内の毛細血管から細菌が全身に入ると敗血症を来たします。致死率は7%程度と言われています。

気腫性腎盂腎炎とは

気腫性膀胱炎と同じく血糖管理不十分な糖尿病患者に見られやすく、大腸菌などのガス産生菌によって発症する腎盂腎炎です。一般的な腎盂腎炎と同じで発熱や腰背部痛などを呈し特徴的な症状はありません。治療は膀胱の時と同じく抗菌薬を基本に腎臓に溜まったガスや膿などを排出するカテーテルを留置しますが効果不良の場合には外科的摘出となります。膀胱と違い腎臓は血管が豊富なため容易に細菌は全身へと拡がり敗血症を来します。そのぶん致死率は15%以上と高くなります。

まとめ

中高年以降になると男性では前立腺肥大症、女性では過活動膀胱や腹圧性尿失禁などを来たしやすくなります。糖尿病による神経因性膀胱はこれらの症状をさらに悪化させます。また難治性の尿路感染症にも罹りやすくなります。

このブログを通じて糖尿病患者さんにとって泌尿器科の合併症がすぐ身近にあるものと認識していただけたら幸いです。

本日は以上です。

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