陰茎の腫れ・痛み・痒み・変形(曲がり)

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嵌頓包茎

好発年齢と成因

包茎傾向が強い幼児や学童期で無理に包皮を剥いた場合や成人でも性行為や自慰、排尿や清潔保持のため無理に包皮を反転させた場合に発生しやすい。

病状

包皮口が狭いのに無理に剥いて亀頭が露出してしまい、元に戻せなくなった状態です。陰茎が絞扼されるため、リンパ管や静脈の流れが停滞し、包皮の著明な浮腫をきたします。時間とともに陰茎の腫脹や発赤、疼痛が進行します。

治療

① 用手的整復

発症直後であれば用手的な整復が可能です。

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② 外科的処置

用手整復ができない場合には早急に手術を行います。浮腫が強い場合には応急的に包皮背面切開術を行い、後日に包皮環状切除術を行います。再発する場合には待機的に包皮環状切除術を行います。

閉塞性乾燥性亀頭炎

病状

亀頭や包皮に白色から象牙色の硬い斑状病変が出現します。皮膚が乾燥して光沢を帯び、進行すると瘢痕化や硬化が目立ちます。進行すると外尿道口や尿道が狭くなり排尿時の痛みや排尿困難を伴います。

好発年齢

小児~思春期の男児に多いが、成人男性でも発症することがあります。特に包茎傾向のある小児に比較的多くみられます。

原因

原因は不明ですが、慢性自己免疫疾患や慢性炎症による瘢痕性変化と考えられています。

治療

① 保存的治療

外用ステロイドにより炎症を抑制し、感染を伴うときには抗菌薬などを使用します。

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② 外科的治療

排尿障害を認める場合には環状切除術を行います。外尿道口狭窄がある場合には尿道口形成術や尿道拡張術を行うことがあります。小児包茎で環状切除術が適応になる数少ない病態の1つです。

亀頭包皮炎

好発年齢

包茎状態の幼児期(乳幼児から学童期)に多く、思春期以降の性活動期にもよく発症します。糖尿病など免疫力が低下している場合にもリスクが高いです。

病状

亀頭や包皮に炎症を生じることで発赤や痒み、痛みなどの不快感を伴います。また包皮が腫れて剥けにくく、排尿困難を伴うことがあります。膿性分泌物や白色のチーズ様物質(カンジダ感染など)が付着したり、何度も繰り返すと包皮の柔軟性が低下して真性包茎に移行することもあります。

原因

大半は不十分な清潔管理により包皮内に恥垢が溜まり炎症を来すことで発症します。ストレスや免疫力の低下により細菌感染や真菌感染を来すことで発症する場合もあります。また石鹸や洗浄液、ラテックス、性行為時などで強い刺激を受けることでも起こります。尿道炎やヘルペス、梅毒などの性感染症に合併する場合もあります。

・治療

① 基本は清潔保持

毎日ぬるま湯で優しく洗浄し、刺激の少ない石鹸を使用します。可能な範囲で包皮を剥き、亀頭と包皮の内側を乾燥させてください。

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② 薬物療法

細菌感染には抗菌薬、真菌感染には抗真菌薬を使用します。炎症や痒みが強い場合には短期間ステロイド外用を併用します。

再発予防

慢性化や再発を繰り返す場合には包茎手術(包皮環状切除術)を検討します。

陰茎硬化症(ぺイロニー病)

病状

陰茎海綿体を覆う繊維性の膜(陰茎海綿体白膜)に限局性の線維性硬結(プラーク、しこり)が生じることで疼痛を来します。また勃起時にその部分が伸長しないため陰茎の屈曲や変形を来すようになります。

好発年齢と成因

40~70歳代の中高年に多い。海外では2-8%の頻度となっています。
陰茎への微小外傷(性交や外商による慢性的な刺激)や遺伝的素因、自己免疫反応の関与が示唆されていますが、現時点では明らかな原因は不明です。

病期

① 急性期(活動期)

発症から約6か月~1年の期間。勃起時痛を伴い、陰茎の屈曲や硬結が進行します。プラークが柔らかく変化しやすい時期です。

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② 慢性期(安定期)

発症から1年以降になると病変が固定し疼痛は軽快しますが、屈曲や変形は残存します。硬結は硬くなり石灰化して安定化します。

合併症

陰茎の屈曲や血流障害により勃起障害や性交障害を来します。また自尊心の低下やうつなどの心理的影響も及ぼすこともあります。

治療

① 保存的治療

約10~20%は自然軽快します。ビタミンEや漢方薬などの内服を用います。

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② 外科的治療

性交困難なほど変形が強い場合に検討します。縫縮法(プリケーション法)で屈曲を矯正するか、延長術(移植法)で硬結部を切除して移植片を補填します。