前立腺炎
前立腺炎について
前立腺で炎症が起こった状態です
前立腺炎とは前立腺で炎症が起こった状態で、急性前立腺炎と慢性前立腺炎に分けられます。
急性前立腺炎の場合、前立腺肥大症を合併しているケースが多く、再発しやすいのでクリニックで適切な治療を受けてきちんと治すことが大切です。
明らかな原因は不明ですが、慢性的に前立腺が炎症を起こしている状態を慢性前立腺炎と言い、若年者の方に多くみられ、気温が低くなる季節に発症しやすくなる傾向にあります。
急性前立腺炎と慢性前立腺炎
急性前立腺炎とは?
尿道から細菌が侵入して前立腺に感染し、炎症を起こしている状態です。38℃以上の高熱、排尿痛、排尿困難、頻尿などの症状が現れます。高熱が続くなど症状が強く現れていて、緊急を要する場合には入院が必要になります。
慢性前立腺炎とは?
慢性前立腺炎は“慢性骨盤痛症候群”とも呼ばれ、はっきりとした原因が不明の前立腺炎のことです。急性前立腺炎が慢性化して起こるケースもあれば、ストレスなどによって起こるケースもあります。
20~40代と比較的若い世代に多くみられ、下腹部痛や会陰部(肛門まわり)の鈍痛、射精時痛、頻尿、残尿感など下半身で様々な症状が現れます。
慢性前立腺炎を根治する治療方法は確立されていませんが、お薬を使って症状緩和をはかることは可能です。治療と並行して、できるだけストレスをためないようにすることも重要となります。
前立腺炎の主な症状
急性前立腺炎の主な症状
- 38℃以上の高熱
- 排尿痛
- 排尿困難
- 尿閉
- 残尿感
- 頻尿
- 白濁尿
- 血尿
- 尿道から膿が出る
- 悪寒
- 食欲不振
- 筋肉痛
- 関節痛
など
慢性前立腺炎の主な症状
- 下腹部痛
- 会陰部(肛門まわり)の鈍痛
- 射精時痛
- 精液に血が混じる(血精液)
- 血尿
- 頻尿
- 残尿感
- 尿道の違和感
- 尿もれ(尿失禁)
- 睾丸の鈍痛
- 下肢の違和感・痺れ
など
前立腺炎の原因
急性前立腺炎の原因
細菌感染が原因で、尿道から侵入した細菌が前立腺に感染することで炎症が起こります。疲れがたまっていたり、睡眠不足だったりして免疫力が低下していると発症しやすくなります。
慢性前立腺炎の原因
急性前立腺炎の慢性化、またストレスなどが原因で起こると考えられています。
はっきりとした原因はわかっておらず、症状を悪化させる要因として、飲酒、刺激物の摂り過ぎ、運動不足、疲労の蓄積、緊張などが挙げられます。また、長時間のデスクワークや運転などにより骨盤底に負荷かかかり続けることもリスクファクターとなります。
前立腺炎の検査・診断
急性前立腺炎の検査・診断
直腸診を実施して、前立腺に痛みがあれば前立腺炎と診断し、尿検査で尿中の細菌や白血球の有無を確認します。必要に応じて血液検査を行う場合もあります。
淋菌、クラミジアの感染で発症するケースもあるため、これらの感染が疑われる場合には性病検査も行います。
慢性前立腺炎の検査・診断
慢性前立腺炎を診断するための典型的な検査がないため、膀胱がんや尿路結石、膀胱炎、慢性細菌性前立腺炎などが除外できて初めて慢性前立腺炎と診断できます。
細菌の関与を否定するためにまずは尿検査を実施しますが、通常の尿検査で細菌が見つからなくても、前立腺マッサージ後の尿検査で細菌が確認されるケースがあるため、こちらの検査も必要になります。
その他、超音波検査(エコー検査)や尿流量測定(ウロフロメトリー)を行い、血尿がある場合には膀胱がんを除外するための膀胱内視鏡(膀胱鏡)検査も必要になります。さらに性行為感染症が疑われる場合には、クラミジア、淋菌の検査を実施します。
前立腺炎の治療方法
急性前立腺炎の治療方法
抗生物質の内服や点滴などで治療します。高熱が出ていたり、尿閉などの症状が続いていたりするケースでは入院が必要になりますので、速やかに連携する医療機関をご紹介いたします。
前立腺肥大症を合併しているケースも多いので、その場合には前立腺肥大症の治療も行なってゆきます。
慢性前立腺炎の治療方法
薬物療法と生活習慣の指導が治療の中心となります。抗生物質や前立腺のむくみを取るお薬などで、症状の改善をはかります。尿がスムーズに出せないなど排尿障害が起きている場合には、α遮断薬を使用することもあります。
通常、2~4週間程度で症状は改善されますが、症状が完全に治まらないため長期間治療が必要となるケースもあります。